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農薬ってそもそも何?

農薬に対して不安をお持ちの方がいらっしゃると思います。そのような不安を払拭できるよう、そもそも農薬とはどういうものなのかというところからお話ししたいと思います。

大きく関わっているのが「農薬取締法」という法律で、その中に記載されている農薬の定義が、農薬を位置づける一番の基本とされています。そこでは、農作物の生産上問題になる病害虫や雑草などを防除するだけではなく、農作物の生理機能の増進や、抑制に用いられる薬剤も農薬と定義されています。農作物の成長促進や抑制という点については、ナシやメロンなどの果実をつきやすくしたり大きくしたり、また稲などの成長を抑えて倒れにくくするなどの例があります。このような有用性も農薬を考える時に重要な要素です。

同じく定義の中にある「生物農薬」というのは、生物を生きた状態で病害虫の防除に利用する天敵昆虫や微生物などをさしています。なお、農作物とは人が栽培している植物の総称であり、ゴルフ場や公園の芝生などもこれに該当し、多くの「ゴルフ場農薬」が使用されています。
これらの定義から、農薬は、病害虫や雑草など、農作物の生産上での問題を解決するための資材であることが大前提だといえるでしょう。

もし農薬を使わなかったら?

無農薬では、大きく減収するという事実

農薬の役割とその必要性を考えるために、さまざまな農作物を対象に、もし農薬を使わなかったら、どれだけ収穫率が下がるかという調査が行われています。その農作物に対する地域的な条件や、発生する病害虫の違いなどがあり、一概にはいえませんが、基本的には長い生育期間を要する農作物は、やはり病害虫による被害を受けやすいといえるでしょう。また、りんごやももなどのように、虫に食われていると製品価値が下がる農作物ほど、徹底的に病害虫を防除しなくてはいけないという側面もあります。

 

昔の農薬と今の農薬との違い

昔の農薬と今の農薬とを比べると、まず、「選択性」がずいぶん変わりました。選択性とは、防除したい生物のみに作用して、農薬が効かないでほしい人間や畜産動物などの、非標的生物には影響しないよう、その作用が標的を選択できることです。そうすると、人間にはまったく作用せず、ピンポイントで標的生物に作用する農薬となるわけです。
効率的に働く農薬であれば、少ない量でも効果があります。たとえば除草剤でいうと、1960年代であれば1ha当たりkg単位で撒くのが一般的だったのですが、今ではわずか数g~数十gで充分に効果を発揮するなど、高活性な農薬になっています(グラフ「高活性(低負荷型)農薬の開発」参照)。少ない量で済むので環境への負荷が減りますし、人間にもやさしい農薬だといえます。誤解していただきたくないのは、少ない量で効くこととは、非常に強力になり危険になったということではなく、人間以外の標的生物のみに選択的に効き、むしろ安全性が向上したということです。

昔の農薬と今の農薬:農薬の開発方向

(1) 高活性   ・低薬量で効果がある
(2) 高選択性  ・防除したい生物のみに作用する(非標的生物に影響がない)
        ・薬害を起こさない
(3) 低毒性   ・健康への影響を低減する
(4) 易分解性  ・農作物・環境中で分解しやすい(残留性が低い)
(5) 製剤の改良 ・使いやすい、安全、環境低負荷型 など

 

圧倒的に低くなった毒性

毒性が低くなったことも、農薬の改良点として注目すべき点です。下記のグラフを見てください。LD50というのは、たとえば100匹のラットを使って試験した場合、半分の50匹を死に至らしめる量で、これを分類分けの指標に使った「毒物及び劇物取締法」にしたがって、「毒物」、その次のランクが「劇物」、法律的な明記はないのですが、かなり毒性が低いものを「普通物」と分けています。昔の農薬はやはり毒性が高かったですね。ところが、1970年代を過ぎたあたりから改良が進み、今は毒物に分類される農薬はほとんどなく、農薬全体の約80%が普通物になっていますから、安全性が非常に高くなっているといえます。

 

外国産野菜の方が、残留農薬が高い?

また、残留基準と深い関係にあるのが、「使用基準」です。ある農作物に使って良いと登録された農薬を、どのくらいの量で、どの時期に、どのような方法で、何回までは撒(ま)いて良いなどと決めたものが使用基準です。この使用基準に違反しなければ、残留基準を超えるような農作物は出来ません。つまり、生産者が使用基準をもとに適正に農薬を使って入れば、不安になるような残留性の問題はないのです。 ただ、各国では日本のものとは異なる残留基準などが設定されています。それでは、外国産野菜は危険かというと、そうではなく、日本に輸入される場合には、日本の残留基準をクリアしなければなりません。たとえば中国産やオーストラリア産も、日本産と同じ残留基準を満たすことが要件ですから、要件を満たしていれば同じように安全だといえるのです。
農薬に対して、外国産野菜の残留農薬が恐いとか、発がんの原因になるとか、間違ったイメージを抱いていらっしゃる方が依然として多いようです。しかし、今までお話ししたように、農薬には、徹底的に安全性を追求した厳しい規制が設けられています。
みなさんがお店へ行かれた時に、店頭に野菜が豊富にあり、虫食いではない、きれいな野菜を選べることを考えてくだされば、農薬の必要性、有用性への理解も深めていただけるのではないかと思います。